GIS導入で失敗するには理由があります。
GIS導入の失敗パターン7選【回避策も解説】
この記事では、GIS導入でよくある失敗パターンと、その回避策を解説します。これから導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
失敗パターン1: 目的が曖昧
どんな失敗?
「GISを入れれば何かいいことがあるだろう」 「他社もやっているから」 「補助金が出るから」 → 目的なく導入 → 誰も使わない → 高価な「地図表示ソフト」に
なぜ失敗する?
原因
- 具体的な課題が特定されていない
- 導入後のイメージがない
- 現場のニーズとずれている
回避策
【導入前に明確にすべきこと】 1. 何を解決したいか 例:「現場写真の整理に毎日1時間かかる」 2. GISでどう解決するか 例:「位置情報で自動整理」 3. 期待する効果 例:「整理時間を10分に短縮」
チェック項目
- 解決したい課題が具体的か
- GISで解決できる課題か
- 期待効果を数値で言えるか
失敗パターン2: いきなり大きく始める
どんな失敗?
「せっかくだから全社導入」 「全部門で使えるシステムを」 「将来を見据えて高機能なものを」 → 予算オーバー → 導入に時間がかかりすぎ → 複雑すぎて誰も使えない
なぜ失敗する?
原因
- リスクが大きすぎる
- 要件が膨らみすぎる
- 現場が追いつかない
回避策
【小さく始める原則】
Phase 1: 1部署、1業務で試す(3ヶ月)
│
├── 効果検証
│
Phase 2: 同部署で拡大(3ヶ月)
│
├── 改善・調整
│
Phase 3: 他部署へ展開(6ヶ月〜)
ポイント
- 最初は無料ツール(QGIS)で
- 1つの業務に絞る
- 成功体験を積む
失敗パターン3: 現場の声を聞かない
どんな失敗?
「IT部門主導で決定」 「経営層の意向で導入」 「ベンダーの提案通りに」 → 現場のニーズと合わない → 使いにくい → 結局使われない
なぜ失敗する?
原因
- 実際に使う人の意見がない
- 業務フローを理解していない
- 机上の空論になる
回避策
【現場参加のプロセス】 1. 現場ヒアリング 「何に困っている?」 「どうなったら嬉しい?」 2. 現場参加の選定 現場担当者も選定に参加 3. 現場でのテスト プロトタイプを実際に使ってもらう 4. フィードバック反映 使ってみての意見を反映
「使う人が選ぶ」が原則
失敗パターン4: データ整備を軽視
どんな失敗?
「ソフトさえ入れれば使える」 「データは後から整備」 「既存データをそのまま使える」 → データがバラバラ → 品質が悪い → 使い物にならない
なぜ失敗する?
原因
- GISはデータが命
- データ整備に時間がかかる
- データ品質が成果を左右する
回避策
【データ整備の計画】 1. 現状把握 - どんなデータがあるか - どこに保存されているか - 品質はどうか 2. 整備計画 - 何を整備するか - どの程度の精度が必要か - 誰が、いつまでに 3. 維持計画 - どう更新していくか - 誰が責任を持つか
データ整備の工数目安
| 作業 | 工数目安 |
|---|---|
| データ収集 | 全体の20% |
| データ整備 | 全体の40% |
| システム構築 | 全体の30% |
| 教育・展開 | 全体の10% |
失敗パターン5: 属人化してしまう
どんな失敗?
「詳しい人に任せきり」 「マニュアルがない」 「担当者が異動したら誰もわからない」 → 1人に依存 → その人がいないと止まる → 引き継ぎできない
なぜ失敗する?
原因
- 知識・スキルが共有されない
- ドキュメントがない
- 組織的な取り組みになっていない
回避策
【属人化を防ぐ対策】 1. ドキュメント化 - 操作マニュアル - データ仕様書 - トラブル対応手順 2. 複数人体制 - 最低2人は操作できる状態 - 定期的な勉強会 3. 外部サポート - 困ったときに相談できる先 - 定期的なサポート契約
チェック項目
- 操作できる人が2人以上いるか
- マニュアルがあるか
- 引き継ぎ可能な状態か
失敗パターン6: 維持管理を考えない
どんな失敗?
「導入がゴール」 「データ更新の計画がない」 「予算は初期費用だけ」 → データが古くなる → 使われなくなる → システムが陳腐化
なぜ失敗する?
原因
- GISは継続的な運用が必要
- データは鮮度が重要
- 維持管理コストを見積もっていない
回避策
【維持管理計画】 1. データ更新計画 - 何を、どの頻度で更新するか - 誰が責任を持つか 2. 運用体制 - 日常的な運用担当 - 問題発生時の対応フロー 3. 予算計画 - 年間運用費(初期費用の10〜20%目安) - バージョンアップ費用 - データ更新費用
維持管理コストの目安
| 項目 | 年間費用目安 |
|---|---|
| ソフトウェア保守 | 初期費用の15% |
| データ更新 | 業務量による |
| 人件費(運用) | 専任or兼任 |
| 研修・教育 | 数万〜数十万円 |
失敗パターン7: 費用対効果を測らない
どんな失敗?
「効果は感覚的にわかる」 「数値化は難しい」 「とりあえず続ける」 → 効果がわからない → 継続の判断ができない → 予算獲得が困難に
なぜ失敗する?
原因
- 効果を測定していない
- 導入前の状態を記録していない
- 定量的な評価ができない
回避策
【効果測定の方法】 1. 導入前の状態を記録 - 作業時間 - エラー件数 - 処理件数 2. 導入後に定期測定 - 同じ指標で比較 - 定期的に(月次、四半期) 3. 効果を可視化 - 削減時間 × 人件費 = 金額効果 - グラフで推移を見える化
効果測定の例
| 指標 | 導入前 | 導入後 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 地図作成時間 | 2時間/件 | 30分/件 | 75%削減 |
| データ検索時間 | 30分 | 1分 | 97%削減 |
| 転記ミス | 月5件 | 月0件 | 100%削減 |
成功のためのチェックリスト
導入前
確認項目
- 解決したい課題が明確か
- GISで解決できる課題か
- 期待効果を数値で言えるか
- 現場の声を聞いたか
- 小さく始める計画があるか
導入時
確認項目
- データ整備の計画があるか
- 複数人で操作できるか
- マニュアルを作成したか
- テスト運用を行ったか
- フィードバックを反映したか
導入後
確認項目
- 維持管理の体制があるか
- データ更新の計画があるか
- 効果を測定しているか
- 定期的に改善しているか
- 予算を確保しているか
まとめ
失敗の共通点
・目的が曖昧 ・計画が不十分 ・現場を巻き込めていない ・継続を考えていない
成功のポイント
7つのポイント
- 明確な目的を持つ
- 小さく始める
- 現場の声を聞く
- データ整備を計画する
- 属人化を防ぐ
- 維持管理を考える
- 効果を測定する
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