導入事例
【事例】測量会社のGIS活用
測量データをGISで管理し、業務効率を大幅に改善した事例を紹介します。
企業概要
| 業種 | 測量・設計業 |
|---|---|
| 規模 | 従業員8名 |
| 所在地 | 地方都市 |
| 主な業務 | 公共測量、境界測量、設計業務 |
導入前の課題
課題1: データ管理の非効率
状況
- CADデータがバラバラに保存
- 過去の測量データが探しにくい
- 同じエリアを何度も測量
【影響】 ・データ検索に時間がかかる ・重複作業の発生 ・ノウハウが蓄積されない
課題2: 情報共有の困難
状況
- CADソフトがないと閲覧できない
- 発注者への説明が難しい
- 社内での情報共有が限定的
【影響】 ・コミュニケーションコスト増 ・打ち合わせに時間がかかる ・意思決定が遅れる
課題3: 分析の限界
状況
- CADでは空間分析ができない
- 地図との重ね合わせが手動
- 周辺情報の把握が困難
【影響】 ・付加価値の提供が限定的 ・ミスの発生リスク ・業務範囲の制約
導入したソリューション
QGIS + PostGIS
選定理由
- 無料で導入コストゼロ
- 必要十分な機能
- CADデータの読み込み可能
- 拡張性が高い
システム構成
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| サーバー | PostGIS(空間データベース)、共有フォルダ |
| クライアント | QGIS(全PC)、PDFビューワー |
| 外部連携 | 地理院タイル、基盤地図情報 |
導入範囲
Phase 1
- 過去データの整理・登録
- 地図表示環境の構築
Phase 2
- 新規案件でのGIS活用
- 帳票出力の自動化
Phase 3
- WebGISによる情報共有
- 発注者向けビューワー
導入プロセス
ステップ1: 環境構築(2週間)
実施内容
- PostGISサーバーの構築
- QGISのインストール・設定
- 地理院タイルの設定
- 基本的なスタイル設定
ポイント
- IT担当者と外部コンサルで実施
- テスト環境で検証後に本番適用
ステップ2: データ移行(1ヶ月)
実施内容
- 過去5年分の測量データを整理
- CADデータをGISに変換
- 座標系の統一
- 属性情報の付与
ポイント
- 優先度の高いデータから順次移行
- 品質チェックを実施
ステップ3: 研修・運用開始(2週間)
実施内容
- 全社員向け研修(2日間)
- 運用ルールの策定
- マニュアル作成
ポイント
- 実際の業務データで練習
- 質問対応窓口を設置
具体的な活用方法
活用1: データ管理
運用方法
- 測量成果をGIS形式で保存
- 案件情報を属性に登録
- エリアで検索可能に
効果
- 検索時間:30分→5分
- 過去データの再利用が容易
- 重複測量の削減
活用2: 現地調査
運用方法
- 事前に周辺情報を確認
- 地理院タイル・航空写真で現況把握
- 過去の測量点を表示
効果
- 現地調査の効率化
- 見落としの削減
- 安全確認の向上
活用3: 成果品作成
運用方法
- GISから帳票を自動出力
- 位置図の自動生成
- 座標一覧表の出力
効果
- 作成時間:2時間→30分
- ミスの削減
- 品質の安定
活用4: 発注者対応
運用方法
- WebGISで情報共有
- PDFで地図出力
- わかりやすい資料作成
効果
- 説明時間の短縮
- 理解度の向上
- 信頼関係の構築
導入効果
定量的効果
| 項目 | 導入前 | 導入後 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| データ検索時間 | 30分/件 | 5分/件 | 83% |
| 位置図作成時間 | 2時間/件 | 30分/件 | 75% |
| 重複測量 | 年3件程度 | ほぼ0 | 100% |
| 打ち合わせ時間 | 2時間/回 | 1時間/回 | 50% |
年間効果(概算)
時間削減
- データ検索:約30時間/年
- 成果品作成:約60時間/年
- 打ち合わせ:約30時間/年
- 合計:約120時間/年
金額換算:120時間 × 3,000円 = 約36万円/年
定性的効果
業務品質
- データの一元管理
- ミスの削減
- 品質の安定
働き方
- 残業時間の削減
- ストレスの軽減
- スキル向上
顧客満足
- わかりやすい説明
- 迅速な対応
- 信頼性の向上
成功のポイント
ポイント1: 経営者のコミット
- 社長自らが必要性を説明
- 導入の優先度を明確化
- 継続的なフォロー
ポイント2: 段階的な導入
- 一度に全部やらない
- 成功体験を積み重ねる
- 現場の声を反映
ポイント3: 教育の重視
- 十分な研修時間の確保
- マニュアルの整備
- 質問しやすい環境
ポイント4: 外部支援の活用
- 初期構築は専門家に依頼
- 運用は自社で実施
- 困ったときに相談できる体制
課題と今後
現在の課題
- さらなるデータ活用
- モバイル対応
- 他システムとの連携
今後の計画
- タブレットでの現場活用
- ドローン測量との連携
- AI活用の検討
担当者の声
技術部長
最初は抵抗もありましたが、今ではなくてはならないツールになりました。過去のデータがすぐに見つかるのは本当に助かっています。
若手技術者
地図上でデータを見られるので、全体像が把握しやすくなりました。発注者への説明も楽になりました。
まとめ
導入のポイント
1. 経営者のコミットメント 2. 段階的なアプローチ 3. 十分な教育・研修 4. 外部支援の活用
得られた効果
- 年間約36万円相当の効率化
- 業務品質の向上
- 顧客満足度の向上
- 従業員満足度の向上
横展開の可能性
- 同業他社への展開
- 関連業種への応用
- 地域連携の基盤
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