建設業界でのGIS活用ガイド

建設業界でもGISの活用が広がっています。

建設業界でのGIS活用ガイド【現場管理から施工管理まで】

現場の位置管理、施工管理、完成後の維持管理まで、GISは建設業務のあらゆる場面で役立ちます。

建設×GISの可能性

建設業界の課題

【現場の課題】
・複数現場の状況把握が大変
・図面と現場の照合に時間がかかる
・写真整理が手間
・情報共有がスムーズでない

GISで解決できること

課題 GISでの解決
現場位置の把握 地図上で全現場を一覧表示
図面管理 位置情報付きで図面を管理
写真整理 位置・日時で自動整理
情報共有 Webマップで関係者と共有

活用イメージ

【建設GISプラットフォーム】

               地図ベースの情報管理
                      │
    ┌─────────────────┼─────────────────┐
    │                 │                 │
現場管理          施工管理          維持管理
・現場位置        ・進捗状況        ・設備位置
・作業予定        ・出来形          ・点検履歴
・安全情報        ・品質データ      ・補修記録

現場管理での活用

現場位置の一元管理

できること

  • 全現場を地図上で表示
  • 現場情報(担当者、工期等)を属性で管理
  • クリックで詳細情報を表示

管理項目例

項目 内容
基本情報 現場名、住所、座標
工期 着工日、竣工予定日
担当者 現場代理人、連絡先
状況 進捗率、工程
リンク 図面、写真、書類

位置情報付き写真管理

【スマホで撮影】
GPS付き写真を撮影
    │
    ▼
【クラウド経由でGISに取り込み】
位置情報から自動配置
    │
    ▼
【地図上で写真を確認】
撮影位置をクリック → 写真表示

メリット

  • 「この写真はどこで撮った?」がなくなる
  • 日付・位置で自動整理
  • 工事写真台帳の作成が楽に

安全管理への活用

活用例

  • 危険箇所のマッピング
  • 仮設物の位置管理
  • 立入禁止区域の表示
  • 避難経路の可視化
【安全管理マップの要素】

・仮囲い範囲(ポリゴン)
・重機作業範囲(ポリゴン)
・危険箇所(ポイント + 警告マーク)
・立入禁止区域(ポリゴン)
・避難経路(ライン)
・消火器等の位置(ポイント)

施工管理での活用

進捗管理

地図による進捗の可視化:

【道路工事の例】

工区A(完了)─── 工区B(施工中)─── 工区C(未着手)
    緑             オレンジ              グレー

→ 地図上で色分け表示
→ 一目で進捗状況がわかる

管理項目

  • 工区ごとの進捗率
  • 出来高
  • 予定との比較

出来形管理

3次元データの活用:

データ 用途
設計データ 計画の3D表示
点群データ 現況の3D計測
差分 設計と現況の比較
【出来形管理の流れ】

設計3Dモデル
    │
    ├──→ 重ね合わせ ←── 点群データ(現況)
    │          │
    │          ▼
    │    差分を可視化
    │          │
    ▼          ▼
設計どおりか確認

土量計算

GISでの土量計算:

【計算フロー】
1. 現況地形(TIN/DEM)
2. 計画地形(TIN/DEM)
3. 差分計算
4. 切土量・盛土量を算出

QGISでの実現

  • ラスター演算で差分計算
  • ボリューム計算プラグイン
  • GRASS GISとの連携

維持管理での活用

施設台帳との連携

【維持管理GISの構成】

地図データ
├── 構造物位置(ポリゴン/ライン)
├── 設備位置(ポイント)
└── 管理区域(ポリゴン)
        │
        ▼
    属性データ
    ├── 施設情報(名称、構造、寸法)
    ├── 点検履歴(日付、結果、写真)
    └── 補修履歴(日付、内容、費用)

点検業務の効率化

Before
  • 紙の点検表を持って現場へ
  • 手書きで記録
  • 事務所でExcelに転記
  • 写真を手動で整理

After

  • タブレットで現場点検
  • 位置情報付きで入力
  • 自動で地図に反映
  • 写真は位置に自動紐付け

劣化状況の可視化

【健全度マップの例】

道路:
■ 健全(A)  □ 要観察(B)  ■ 要補修(C)  ■ 緊急(D)

→ 路線を色分けして表示
→ 補修優先度が一目瞭然

i-Constructionとの関連

i-Constructionとは

国土交通省が推進する建設生産システム全体の生産性向上の取り組みです。

3つの柱

  • ICT施工
  • 全体最適の導入
  • 施工時期の平準化

GISの役割

i-Con要素 GISの活用
3次元測量 点群データの管理・可視化
3次元設計 設計データの地図上表示
ICT施工 施工データの位置管理
3次元検査 出来形データの比較

関連データ形式

形式 用途
LandXML 3次元設計データ
LAS/LAZ 点群データ
IFC BIMデータ
CityGML 3D都市モデル

導入のステップ

ステップ1: 現状把握

確認項目

  • 現在の図面管理方法
  • 写真管理の状況
  • 現場数と規模
  • 社内のITスキル
  • 予算

ステップ2: 小さく始める

おすすめの始め方

  • QGISをインストール(無料)
  • 現場位置をポイントで登録
  • 地理院タイルを背景に表示
  • 属性に基本情報を入力
  • 使いながら改善

ステップ3: 徐々に拡大

【段階的な拡大】

Phase 1: 現場位置管理
    │
    ▼
Phase 2: 写真・図面の紐付け
    │
    ▼
Phase 3: 進捗管理・共有
    │
    ▼
Phase 4: 3Dデータ連携

ステップ4: 社内展開

成功のポイント

  • 使う人の意見を聞く
  • 簡単に使えるようにする
  • マニュアルを整備
  • 成功事例を共有

おすすめツール

無料ツール

ツール 用途
QGIS デスクトップGIS
QField 現場入力(QGIS連携)
Google Earth 簡易的な可視化

有料ツール(参考)

ツール 用途
ArcGIS 本格的なGIS構築
TREND-FIELD 測量・土木向け
現場ロイド 現場管理

まとめ

建設×GISのポイント

4つのポイント

  • 位置で情報を管理
    現場、図面、写真を地図に紐付け。検索性・共有効率が向上
  • 段階的に導入
    まず現場位置管理から。効果を確認しながら拡大
  • i-Constructionへの対応
    3Dデータの管理・活用。BIM/CIMとの連携
  • 維持管理への展開
    施工データを維持管理に活用。ライフサイクルでのデータ活用

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最終更新: 2025年1月