BIMとGISを連携させることで、建築と周辺環境を一体的に管理できます。
BIM×GIS連携【建築と地理情報の統合活用】
この記事では、BIM×GIS連携の基礎知識と活用方法を解説します。
BIMとGISの違い
BIM(Building Information Modeling)
【特徴】 ・建物の3Dモデル ・部材単位の情報管理 ・設計・施工・維持管理で活用 ・ローカル座標系 【対象】 ・個別の建物 ・部屋、壁、設備など ・詳細な建築情報
GIS(Geographic Information System)
【特徴】 ・地理空間情報の管理 ・広域のデータ統合 ・分析・可視化 ・地理座標系 【対象】 ・都市・地域 ・インフラ、環境 ・広域の空間情報
比較表
| 項目 | BIM | GIS |
|---|---|---|
| スケール | 建物 | 都市・地域 |
| 座標系 | ローカル | 地理座標 |
| 詳細度 | 非常に高い | 中程度 |
| データ形式 | IFC, RVT等 | SHP, GeoJSON等 |
| 主な用途 | 設計・施工 | 計画・分析 |
連携のメリット
設計段階
周辺環境の考慮
- 日影シミュレーション
- 眺望の確認
- アクセス分析
- インフラとの接続
メリット
- より良い設計判断
- 周辺への影響把握
- 合意形成の促進
施工段階
現場管理
- 搬入ルートの検討
- 仮設計画
- 周辺交通への影響
メリット
- 効率的な施工計画
- 安全管理の向上
- 周辺対応の改善
維持管理段階
施設管理
- 資産の統合管理
- インフラとの関連把握
- 災害リスクの評価
メリット
- 効率的な維持管理
- 意思決定の迅速化
- 長期的な計画立案
データ形式と変換
BIMのデータ形式
| 形式 | 説明 | 用途 |
|---|---|---|
| IFC | 国際標準 | データ交換 |
| RVT | Revit形式 | Revit内 |
| DWG | AutoCAD形式 | 2D/3D図面 |
| FBX | 3Dモデル | ビジュアル |
GISのデータ形式
| 形式 | 説明 | 用途 |
|---|---|---|
| Shapefile | GIS標準 | ベクタデータ |
| GeoJSON | Web向け | WebGIS |
| CityGML | 3D都市モデル | 都市データ |
| 3D Tiles | Web 3D | 大規模3D |
変換の課題
座標系の違い
BIM:ローカル座標 / GIS:地理座標
解決方法
- 基準点を設定
- 変換パラメータを計算
- 座標変換を実行
変換ツール
主なツール
- FME(Safe Software)
- ArcGIS Data Interoperability
- BIMserver
- オープンソースツール
連携の方法
方法1: BIM→GISへのエクスポート
【手順】 1. BIMモデルをIFC形式でエクスポート 2. 座標変換 3. GIS形式に変換 4. GISで読み込み
特徴
- シンプルな方法
- 一方向のデータフロー
- 更新時は再変換が必要
方法2: GIS→BIMへのインポート
【手順】 1. GISデータを準備 2. BIMソフトでインポート 3. 位置合わせ 4. 参照データとして活用
用途
- 周辺環境の参照
- 敷地条件の確認
- 設計の検討
方法3: 統合プラットフォーム
ツール例
- Autodesk InfraWorks
- ArcGIS GeoBIM
- Cesium + 3D Tiles
特徴
- リアルタイム連携
- 双方向のデータフロー
- 統合的な可視化
方法4: IFCをGISで直接利用
python
# ifcopenshell を使用
import ifcopenshell
from shapely.geometry import Polygon
import geopandas as gpd
# IFCファイルを読み込み
ifc_file = ifcopenshell.open("building.ifc")
# 建物のフットプリントを取得
buildings = []
for wall in ifc_file.by_type("IfcWall"):
# 形状情報を取得
# GIS形式に変換
pass
# GeoDataFrameとして保存
gdf = gpd.GeoDataFrame(buildings)
gdf.to_file("buildings.geojson", driver="GeoJSON")
活用事例
事例1: 都市開発シミュレーション
内容
- 計画建物のBIMモデルを作成
- GISの都市モデルに配置
- 日影・眺望をシミュレーション
効果
- 周辺影響の事前評価
- 住民説明の資料作成
- 合意形成の促進
事例2: インフラ管理
内容
- 建物と地下埋設物を統合
- 上下水道、ガス、電気を3D表示
- 施設との接続点を管理
効果
- 干渉チェック
- 維持管理の効率化
- 災害時の対応
事例3: スマートシティ
内容
- 都市全体の3Dモデル化
- リアルタイムデータの統合
- シミュレーション・分析
効果
- 都市計画の高度化
- エネルギー管理
- 防災計画
事例4: 施設管理
内容
- 建物のBIMと位置情報を統合
- 複数施設を一元管理
- 資産情報の可視化
効果
- 効率的な施設管理
- 投資計画の立案
- LCC(ライフサイクルコスト)管理
ツールと環境
統合ビューワー
| ツール | 特徴 |
|---|---|
| Cesium | Web 3D、オープンソース |
| ArcGIS Online | クラウドGIS |
| InfraWorks | Autodesk製品連携 |
| Bentley iTwin | インフラ向け |
データ変換
| ツール | 用途 |
|---|---|
| FME | 高機能変換 |
| BIMserver | IFC処理 |
| ifcopenshell | Python連携 |
| QGIS | GIS処理 |
開発環境
【WebGIS開発】 ・Cesium JS ・Three.js ・deck.gl 【Python】 ・ifcopenshell ・pyproj ・geopandas
実践的なワークフロー
ステップ1: データ準備
【BIMデータ】 1. IFC形式でエクスポート 2. 必要な情報を確認 3. 座標系情報を記録 【GISデータ】 1. 敷地・周辺データを準備 2. 座標系を統一 3. 必要な属性を確認
ステップ2: 座標変換
手順
- BIMの基準点を特定
- 対応する地理座標を取得
- 変換パラメータを計算
- 変換を実行
- 精度を確認
ステップ3: データ統合
手順
- 変換したBIMデータをGISに読み込み
- 位置を確認・調整
- 属性情報を整理
- 統合データを保存
ステップ4: 活用
分析
- 空間分析
- シミュレーション
- レポート作成
共有
- Webビューワー
- レポート
- 3D PDF
今後の展望
技術の進化
トレンド
- IFC5.0の標準化
- クラウド連携の強化
- AIとの統合
- リアルタイム更新
普及の加速
動向
- i-Construction
- 国土交通省の推進
- BIM義務化の動き
- PLATEAU事業
期待される効果
将来像
- 設計品質の向上
- 施工効率の改善
- 維持管理の最適化
- 都市計画の高度化
まとめ
BIM×GIS連携の価値
4つの価値
- 建築と環境の統合管理
- より良い意思決定
- ライフサイクル全体で活用
- スマートシティの基盤
連携のポイント
4つのポイント
- 座標系の統一
- データ形式の変換
- 属性情報の整理
- 目的に応じたツール選択
始め方
3ステップ
- 簡単な連携から試す
- ユースケースを明確に
- 段階的に拡大
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